幸せすぎて、くだらない。

私の、生きる教祖様。

あなたが好きなものは?

私はある大学の文学部生だ。世間のイメージだと文学部と言えばたくさん本を読んでいるというというものがすぐ浮かぶのではないだろうか。文学部のくせにこの程度の語彙力しか持ち合わせていないのかと突っ込まれると黙るしかないのだけれど。ただ私の通う文学部は少し周りと異なるのか、文学系統の講義を一切取らずとも卒業は可能だ。私自身、今ではテーマもがらっと変わってしまったものの、当時思い描いていた卒業論文のテーマに活かそうと思い立った3年次までは、文学の講義は取らなかった。しかし、それでも文学部という肩書きはもちろんにあるため、いつかくるのではないかという議題にそこそこ怯えながら大学に通っている。それは「好きな作家は誰ですか?」この議題に対して他人様が話していることを聞くのは大好きだ。しかし私がいざ話すのはあまり好きではない。文学部というレッテルを気にしすぎたせいか、やけにマニアックな人を選ばなくてはならないのだろうか、現代作家ではなく明治大正の文豪を挙げなくてはならないのだろうか、そのような不安が私の頭でぐるぐるまわるからだ。そんな思いを頭の片隅に置きながら本を読んでいると、衝撃的な作品に出会った。

きらきらひかる (新潮文庫)

きらきらひかる (新潮文庫)

どんどん世界に引き込まれるのだ。正常の域を逸脱していない精神病の笑子と医者でホモの睦月の夫婦。睦月の恋人の紺くん。江國さんの日本語に美しさ洒落を感じる。また、私には恋人もいないし精神病も持ち合わせていないけれど、ほんの少し笑子と自分を重ねてしまう。いま手元に無いからか薄っぺらい言葉しか並べられないのだが今回は作品批評がメインではないので次へ進むことにするが、すごくすごく好きな本だ。基本的に一度読んだ本を読み返そうと思うことはあまりないのだが、本作品は何度も何度も読みたいし、図書館へ返却することを大いに躊躇った。いつか文庫ででも買いたいむしろ今から買いに行きたい。切ない話なのだが、この本を開いていると江國ワールドを存分に覗くことができて幸せに充たされた気持ちになる。


また、大学生でなくとも人と交流する際によく用いられる質問が「好きな歌手は?」だと思う。これは学校でも職場でも近所の人とでも誰にでも使われる。この質問には何も迷うことなく柴田淳さんだと答えている。

唯一困るとすれば、答える度に柴田淳とは…?と聞かれることだ。最近テレビ番組への露出が増えたのでご存知の方もいるかもしれないが、本当に私の周りにはそもそも知っているひとがいない。中学からずっと言い続けているが、名前を出したときに頭にはてなを浮かべなかった人間は、高校の友人ただ一人だけだ。彼女の歌は切なく美しいのだが、それ以上に暗く重い。したがってあまり他人様に強く勧められないしカラオケで歌うことも躊躇われる。中学から好きだと言うとなーにを大人ぶっているんだガキんちょがと言われそうな勢いだが、かれこれ約7年ほど好きですと言わせていただいている。昨年4月にFCイベントに参加し初めてしばじゅん*1を生でお見かけしたが本当に美しく年齢を感じさせない。驚いたのは客のほとんどがしばじゅんと同世代もしくはそれ以上の年代の男性で、私のように若い女の子はほんの少ししかいなかった。


 と、ここまでが前置きでこれからが本題なのだ(以下敬称略で書かせていただく)。なぜ江國香織が、柴田淳が好きなのか。そもそも出会ったきっかけを思い出すとこの二人には共通点がある。それは、嵐を介して知ったということだ。江國香織作品との出会いは『東京タワー』。これは松本潤出演映画だ。当時中学生だった私は、DVDよりも手軽に借りることができる本を意気揚々と借りて読んだ。こ、こんな作品に潤くんが出ているの…?!と恥じらいとそれを演じる潤くんの怖いもの見たさを感じた。ありがたいことに読了後しばらくしてBSで本映画の放送があったため録画して今はディスクに落としている。原作と映画は異なる点が少し有り、映像化することで良い意味で生々しさが鮮明になるところもあれど小説のほうが好きだなという原作と映像化との違いを知った作品でもある。映画『東京タワー』における江國香織は原作者であり、もしかして私は江國香織が好きなのかもしれないと思い数年後に他の江國香織作品を手に取ることになる。正直、高校時代にも『きらきらひかる』を読んだことはあるが、大学生になって読んだときほど衝撃はなかった。私の内面の変化もあるのだろうが、私は出会って数年を経て江國香織ファンになった。ちなみに他作品では『抱擁、あるいはライスには塩を』も勧めたい。

 柴田淳は、二宮くんがコンサート*2のソロ曲で『夢』をカバーしたことで知る。本コンサートのDVDを見て二宮くんのソロ曲が好きだなと感じたのだがどうも歌詞の意味が分からない。話が飛んでいるように感じられた。調べてみるとこれはカバーであり元曲があるとのこと。早速TSUTAYAで借りて聞いたところ、二宮くんは1番と2番の歌詞を混ぜて歌っていたらしく通りで理解が難しかったのだ。『夢』が収録されたアルバムをせっかく借りてきたのだから全部聞いてみたことからしばじゅんにハマっていく。最近しばじゅんがテレビに出るとき「暗い、不幸」などと言われることがあるが正直私はそのようにあまり感じなかった。たしかに両手放しで幸せと歌う曲は本当に少ないがそこまで過剰に言うものなのかと驚いた。聞きすぎて麻痺していたのだろうか。

 もちろん、中学生になって読む本の幅が広がったこと、今まで音楽を聞く習慣がなかったときに嵐に出会い、柴田淳を知ったということで初めて触れる世界で初めて出会ったものに平常時以上の好意を持つ可能性は大いにありうる。特に私の性格なら十二分にありえる。それでも江國香織を好きだと自分で認識してから日が経ってないとはいえ、しばじゅんは7~8年好きなので本当に好きなのだろう。

 私が好きな作家は江國香織であり、好きな歌手・アーティストは柴田淳である。好きなものを好きだと自覚し、意識的に深く掘り下げていけるこの状況はとても好ましい。それらを知る原因となったのは嵐のおかげなのだ。私が初めて好きになったアイドル。嵐が私に与える影響は、思っている以上に大きいのかもしれない。もしかすると、嵐を介さずとて出会い好きになっていたかもしれないが、中学生という(世間的には)多感だと言われる時期に私の世界を広げてくれた嵐にはどれだけ感謝しても感謝しきれない。

大学生となった今、玄樹くんは私にどんなに世界を与えてくれるのだろう。雑誌等で話を聞く限り私の趣味とは大きく異なるようだ。好きな人の好きなものを知ろうとするとは何と甘酸っぱいものだろう(対アイドルとはいえ)。楽しみで仕方ない。

さぁ、『きらきらひかる』を求めに外へ出ようかしら。

*1:柴田淳さんの愛称

*2:How's it going? SUMMER CONCERT2003